展覧会での効果的な文章表現についての検討

Consideration of effective written expression in exhibitions

中川 結|B4

概要

初めて展覧会を開催しようとすると高いハードルが立ちはだかる。先の見えない作業が多く、具体的なプロセスを知らないまま進めるのは困難が多い。

展覧会を構成する要素の一つにキャプションがある。キャプションとは1 つの特定の展示品(または複数の関連した展示品)に関するテキストの塊であり、重要な情報伝達ツールとしての役割を持っている。しかし、多くの利用者は熟読することなく、先へ進んでいってしまう。これは効果的なキャプションの制作に真剣な注意を払われていないことが原因の一つだと言われている。 これら件について従来より問題提起されているにも関わらず、決定的な解決策は見出されていない。一方で展示品よりもキャプションを丁寧に読んでいる利用者も一定数存在する。このことから、利用者にとって読みやすく効果的なキャプションである必要がある。

デザインされていない煩雑な展示空間や環境は利用者の意欲を低下させるマイナス要因となる。初めて展覧会を開催しようとする場合、あらゆる要素について1から考えることは難しい。そこで本研究では、展示デザインの非専門家を対象とし、展覧会を開催するためのプロセスを冊子にまとめる。特に評価実験の実施、分析によって効果的なキャプションデザインについて検討する。

現在、『展覧会開催の手引き 2005年改訂版』の改訂版、『Exhibit Design Process -展覧会をデザインするためのガイドブック-』を執筆を進めている。簡単に展示計画を立てることができ、分かり易く情報を伝達できるよう、文章を読みに影響する要素や、グリッドシステムを用いた展示場空間のデザインなど、より詳細な内容を加筆していく予定である。本研究で執筆される冊子を利用することで展示デザインの非専門家でも一定のクオリティが保てるようになることが期待される。