調理初心者の並列調理の熟達に関する研究

A Study on the Proficiency of Parallel Cooking in Novice Cooks

中井遥夏|B4

本研究では技能の熟達に関する研究の中で、料理初心者の調理の上達に並列調理がどう関わっているかをテーマに研究にしている。

一般に技能の熟達化というものはあらゆる領域で見られるものなので、研究する場合は特定の領域が対象になる。例えば、囲碁、将棋などの競技ゲームやスポーツ、美術などの芸術分野などである。研究内容は、これらの分野の熟達者と初心者を比較し、どのように技能を発達させていくのか、その過程でどのような内省が生じるのかなど、熟達の特徴を探るものである。さまざまな分野で行われている研究ではあるが、調理分野での熟達化研究はまだ検討されている例が少ない。本研究は、初心者の並列調理の熟達化において、調理中の道具の使い方や適切な段取りの策定を取り入れた熟達方法を探るものである。

本研究の目的は、段取りを考慮した調理として並列調理に注目し、調理初心者の調理中の道具や食材の配置の工夫により、調理操作の段取りが調理時間の短縮される過程を記述することで、その過程が並列調理の熟達に寄与していることを明らかにすることである。

先行研究として、高橋ら(2018)は、調理の初心者と熟達者の調理操作と調理の段取りについて比較検討したところ、初心者は調理中の時間に関する部分と段取りに関する部分で、熟達者と差異が見られたとしている。また道具の適切な使い方や安全面や環境面に配慮した段取りを検討することを今後の課題としている。

これまでの取り組みとして、同じ品を調理熟達者と調理初心者に調理させて、調理中の行動を観察し比較した。結果、全調理時間が初心者は熟達者の約2倍の調理時間になった。初心者の調理時間が長くなってしまった要因として調理を並行して行えていないことと調理器具の最適化が行えていないことが関係していると考えられる。

参考文献

高橋ひとみ、佐治伸郎、柳沢幸江(2018)、初心者と熟達者の調理操作、調理の段取りの特徴、日本調理科学会誌 Vol.51、No.6、pp315~325